レキシントンの幽霊

レキシントンの幽霊 (文春文庫)

レキシントンの幽霊 (文春文庫)

「沈黙」という短編がある。誤解を恐れずに書くと、山田詠美の『風葬の教室』、綿矢りさの『蹴りたい背中』、三並夏の『平成マシンガンズ』などは同じ系列に属する作品群である。材料は同じというか、非常によく似ている。味はそれぞれ特徴は出ているんだけども、後味が少し似ている。

何が言いたいかと言うとつまりは「ちょっと似てる」よねということだ。


「蹴りたい〜」、「平成〜」は共にハードカバーで100Pを越える作品で、長編というよりは中編という感じ。「風葬〜」は文庫版で140Pくらいあるけど、文字数で換算すれば半分か、三分の二くらいになると思う。100Pは行かないはず。「沈黙」は文庫版で38P。
これらの作品は「ちょっと似てる」んだけども、長さで比較するとこれだけ違う。これは料理のされ方の違いだろうか。


主人公たちの行き着く境地が「ちょっと似てる」。こういう状況に陥ったことのある人って少なくないだろうけど、結局のところこういうふうになるしかないのかな、と思った。