2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

街場の現代思想

ウチダ先生のおっしゃることはものすごく身に沁みて分かる。自分が考えていることとかなり相性が良い。ただ、先生と自分が違うところは、ここまではっきりと言い切ることが出来るか出来ないか、という点にある。まだ修行不足ということか。本の内容に関して…

鉄鼠の檻

舞台は冬の箱根。僧侶の連続殺人が起こる。寒いのは苦手なのに、こういうシチュエーションは好きで、ぞくぞくする。京極作品は一つの物語が長いというだけでなく、情報量も多い。しかしそれを編集する技術が素晴らしい。日常にはないけれど、日常のすぐ延長…

車輪の下

救いがない世界は恐ろしい。救いが欲しくても得られないから。一心不乱に物事に打ち込むことは良いことだと思う。でも、惑わされることは悪いことなのか? 引き返すことが出来ない「道」だからこそ、少しは救いが欲しいと思ってしまう人間は弱いのか? ……こ…

リトル・バイ・リトル

理由は分からないけれど、ぐいぐいと惹きつけられてしまう物語がある。同じ作者の他の本も数冊読んでみたけれど、強く惹きつけられたのは本書だけだった。どれもあるようでないような、想像と現実が微妙に混ざり合った作品群であったように思う。それなのに…

風の歌を聴け

その本に合わせた読み方というものが、やはりあるように思う。この薄い本は毎日少しずつ、一ヶ月くらいかけて読むのが合っているのではないか。それもおそらく夏が良い。日が暮れる頃、やることもなくなって、「まあ、本でも読むか」と手を伸ばす。夏も終り…

坊っちゃん

「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。」という一文からこの物語は始まる。損ばかりしているのは性格的なものが原因である。そういう性分だから損をしても仕方がないと言うのだ。いわゆる、文学的性格の主人公によくあるような、深みに嵌って行…

竜馬がゆく

物事が成るには条件がある。必然的な、論理的な、あるいは力で勝ち得たような「正しさ」だけでは成り立たない。「5W1H」というものがあるが、中でも「いつ」、「誰が」という二点が重要であると思う。筆者は「幕末のこの時期に」、「竜馬が」いたから、…

ライ麦畑でつかまえて

何度も読み返しているけれど、やはり印象に残っているのは冒頭の部分で、ホールデンの感じている現状に対する居心地の悪さや、周囲の人への酷評ぶりに痛快さを覚えてしまう。あとどれくらい、それを「痛快」と感じられるのか、と時々思う。いつまでも覚えて…

十角館の殺人

ミステリィにおいて「衝撃的な結末」には様々な解釈があり得る。意外な犯人、意外なトリック、意外な動機等がすぐに思いつくところであるが、綾辻作品の衝撃というのは「だまし方」の見事さにある。「まさかそんな……!」という衝撃である。そこへ至る物語の…

二百文字の読書感想

とブログタイトルを改めることにした。あまり長々と書いても仕方がないし、短過ぎても意味不明だったりする。200文字というのに根拠はないが、最近流行りのTwitterなんていうのも一度に書けるのは140文字くらいらしいし、400字詰原稿用紙で丁度半分だし、ま…