風の歌を聴け

風の歌を聴け (講談社文庫)

 その本に合わせた読み方というものが、やはりあるように思う。この薄い本は毎日少しずつ、一ヶ月くらいかけて読むのが合っているのではないか。それもおそらく夏が良い。日が暮れる頃、やることもなくなって、「まあ、本でも読むか」と手を伸ばす。夏も終りに近づく頃、やっと読み終わって、「ああ、終わったか」と本を閉じる。多分、一気に読んでしまうよりもその方がしみじみとこの物語を味わえるような気がする。