夫婦茶碗

夫婦茶碗 (新潮文庫)

夫婦茶碗 (新潮文庫)

笑った。

単純に笑えるという「面白さ」だけを取ってもここまで書ける作家はそうそういない。しかもそれがメインではないのだから恐れ入る。
「面白さ」は「おかしさ」であり、「おかしさ」は「狂気」に繋がる。世界観とか登場人物などがみんな狂っているのだけれども、一番狂っているのは言語であって、町田康の作り上げる「文学」そのものが狂っている。これは褒め言葉である。

狂った言語で正当な論理を駆使し、世を風刺し、諧謔し、しかし格好つける訳でもなく転がり落ちて行く主人公たち。見ていて面白く、そして恐い。