竜馬がゆく

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

 物事が成るには条件がある。必然的な、論理的な、あるいは力で勝ち得たような「正しさ」だけでは成り立たない。「5W1H」というものがあるが、中でも「いつ」、「誰が」という二点が重要であると思う。筆者は「幕末のこの時期に」、「竜馬が」いたから、薩長同盟大政奉還といった大難事は成ったと考えた。ではその竜馬とは何者か? という筆者の論考がこの全八巻にも及ぶ物語である。歴史を小説にする技倆を評価したい。